キャリコンは人間を深く知る仕事

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一人ひとり全く違うからこそ真剣に向き合うことが求めらる。キャリアコンサルタントの難しさとやりがいについて、日々相談を受ける中で感じることをお伝えします。

人間の奥深さ、複雑さを実感する日々

キャリアコンサルタントととして相談者の方々に日々対峙していると、人間の奥深さを改めて感じます。

 

改めて感じるのは、「人間を知る仕事」だということ。

 

単に仕事探しの支援をするだけではなく、その人のこれまでの人生や価値観、経験から身に着けた考え方や行動のクセ、子供の頃の親との関係にまで時には触れていく。

 
だからこそ、知識や技術以上に、「人そのもの」への深い関心と敬意が求められるのだと思います。

  

誰一人として同じ人はおらず、決してパターン化することはできません。

 

ひとりひとり真剣に向き合い「この人が本当に話したいことは何なのか」「何がこの人を邪魔しているのかな」「どうありたいのかな」という視点を常に持ちつつ、丁寧にお話を聴いていきます。

 

支援のバリエーション、情報が得られる場所、労働関係の法律なども常にアップデートしていく必要があるので、自己研鑽も欠かせません。

 

横のつながりで情報共有していくこと、時には傷付きを癒していくこともとても大切だと感じています。

  

自分のことも改めて深く知る

相談を受けているうちに、相談者の言葉や考えに反応している自分にも気づきます。

 

セッション中は一旦それを脇に置いておいて、終了した後に改めて振り返る時間を作っています。

 

なぜ、あの時ざわついたのか。

  

なぜ、私はこの相談者の話にイライラしてしまったのか。言い返したくなったのか。

 

なぜ、その言動・思考に強く共感し、涙が出そうになったのか。
 

相談者の話を受けとることで、自分自身の過去の経験をが刺激されたり、自分にも「べき・ねば」思考があること、価値観のクセなどが潜んでいることに気づくことがあります。

 

相手を理解するとともに、自分を「一致した」状態にしておくために、自分を理解していく作業もとても大切になります。 

 

自己理解は、キャリコンとしての“感度”を高めるための土台と言えるのではないでしょうか。

 

相談者と相対することで自分もごまかせなくなります。

 

自分に向き合い、深く掘り下げるのは時に苦しいこともありますが、じっくり理解を深めるとだんだん解放されてきます。

 

自分を更に知り、思い込みや偏見などのバイアスを外していくことが大切です。

 

私はキャリアコンサルタントの養成講座で自己開示をしながら過去を振り返るうちにこのことに気づき、それ以降の人間関係やコミュニケーションがずいぶん楽になりました。

 

大げさに言えば「生きるのがラクになった」のです。

 

その体験が私をキャリア支援の道に進ませたといっても過言ではありません。
 

自分を知りよりフラットな状態で相談者に向き合う。すると、相手の話がずっとクリアに見えてきます。

 


魚を与えるか、釣り方を教えるか

支援の現場で「魚を与えるか、釣り方を教えるか」という話が出ることがあります。

  
目の前の課題を直接解決するアドバイス(魚)か、長期的な力を育てる支援(釣り方)かという視点です。

 

どちらが正しいというものではありません。
 

ただ、目の前の人が「今どんな状態にあるのか」をしっかり見極めることが大切です。

 

キャリア支援についてよく「自律的に行動し自己決定できるよう、答えは与えず、自分で考えさせる関わりを」と言われます。
 

たしかに、長期的には自律・自立を促すアプローチが必要です。

 

ただ、たとえば今日食べるものがない人、空腹で力が出ない人に「釣り方を覚えてね」と言っても、心には届かないでしょう。

 

それどころか、助けを求めて来たのに突き放された気持ちになり、立ち去り、二度と来なくなってしまうかもしれないですよね。

 

本当に疲弊している人、困窮している人に対しては、まずは魚を与えてエネルギーをチャージすることも必要です。

 

お腹を満たし、温かい飲み物を飲んで初めてほっと安心し、釣り方を学ぶ意欲が出てくる――
 

そんな「状態」や「順番」を見極めることもとても大切なことです。

 

その見極めがキャリコンとしての経験値であり、難しさでもあります。

 

 

人が持つ可能性を信じる仕事

キャリコンは、人を見抜く力もさることながら、人の可能性を信じる力が問われる仕事です。

 

この人は変われる。

  

でも、変わるスピードも、やり方も、人によって違う。

 

私たちにできるのは、その方の人生の旅路に少しだけ伴走し、軒先を貸し、時に魚を渡し、時に釣り方を共に考えること。
 

そして何より「あなたには力がある」と、心から信じることなのだと思います。

 

もともと持っている「力」が、今は何らかの理由ででなくなっている。

 

それが出やすくなるよう、障害物を取り除くお手伝いをする、そんな支援ができたらといつも願っています。

 

難しくも、とてもやりがいがある、そして生涯に渡って続けられる仕事だと感じています。

 

真剣に向き合うほど、奥深く面白い仕事です。

 

今キャリア支援に携わっている方、そしてこれから携わりたい方、ともに頑張っていきましょう。

 

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