「50代からの転職ってやっぱり難しいですよね？」そんな質問をキャリア相談で受けることがよくあります。
確かに、若い頃と比べて求人の数は限られていますし「未経験OK」「正社員登用あり」という言葉も年齢を考えると応募していいのか不安になりますよね。
でも「難しい＝無理」ではありません。
50代だからこそ活かせるスキルや経験、コミュニケーション力が武器になることがあるんです。
この記事では、現実的な視点と前向きな戦略を組み合わせて、50代からの転職活動にどう向き合えばいいのか、一歩を踏み出すヒントをお届けします。
50代の転職は本当に難しい？
まずは「50代の転職が難しい理由」にもしっかり目を向けてみましょう。
- 求人数が若年層より少ない
- 長期的に会社を支えてもらう人材を採用したいため
- 即戦力や専門スキルを求められる場面が多い
- 給与・勤務条件のミスマッチが起きやすい
- 人気の職種・働きやすい環境の求人は競争率が高い
現実にはこういった理由が難しさにつながっています。
実際にあなたが「やってみたい」「条件がいい」
と思う仕事は他の人もそう思うわけで、おのずと競争率は上がります。
ただ、これを知った上で「どう工夫すればいいか？」を考えることが、50代の転職にはとても大切です。
私がアドバイスしている3つのこと
これまでキャリア相談を受けてきた中で、私が50代の転職希望者にお伝えしていることが3つあります。
年齢は変えられない
当たり前のことですが、「年齢」は変えることができません。
つまり、「年齢で不利になる」という事実から目をそらすのではなく、どう乗り越えるかを考えることが大切です。
「年齢的に難しい」から断念するのか
「年齢的に難しい」だけどチャレンジしてみるのか
もしチャレンジを選ぶのなら、早い方がいいような気がしませんか？
キャリア相談に申し込まれる方で、年齢を気にされている方に対しては
「年齢は気になる、けれど何かを変えたいと思われているのではないですか？」
と質問を投げかけてみます。
実は「何かを変えたい」という願望が奥底にあることが多いのです。
それは必ずしも仕事でなくてもいいのかもしれません。
また、年齢を理由に落とされることがある一方で、人生経験や人間関係の調整力、安定感を評価してくれる企業も確実に存在します。
ポイントは「自分はどんな人間で、何ができるのか」
自分の「強み」をきちんと言語化し、それをわかりやすく伝える準備をしておくことです。
では、若い人が持っていない自分の経験とは何でしょうか。
そういった強みを自分の経験の中から言語化して、具体的なエピソードにより説得力を持たせて熱く語りましょう。
✔ 仕事をしてきて工夫したこと
✔ 成果を上げてきたこと
✔ 周囲からありがたがられること
✔ 家事と育児の両立で身に着けてきたこと
✔ 時間を忘れて取り組んでしまうこと
✔ 誰よりも熱く語れること
…仕事に限らず、幅広く思い出してみてくださいね。
若い人と競わない工夫をする
20代・30代に真っ向勝負を挑むのではなく、年齢を重ねたからこその自分にしかない経験や価値を打ち出すことが必要です。
たとえば：
- コミュニケーション能力、調整力
- 接客や営業などの現場経験、臨機応変な対応力
- 長年勤めた仕事で培った信頼関係構築力
- 家庭や子育てを通じて身に付けたマルチタスク力
こうした強みは、人生経験が長いからこそ身についている場合も多いですよね。
それらを丁寧に伝えることで「この人と働いてみたい」「うちの職場にマッチするな」と思わせることができます。
その職場でしか通用しないスキルではなく、持ち運べるいわゆる「ポータブルスキル」といった視点でも考えてみてください。
- 業務効率力
- コミュニケーション力・発信力
- 調整力・スケジュール管理力
- 企画力・巻き込み力
場所が変わったとしても再現してくれそうなイメージを採用担当者に与えることができたら、他の候補者と差別化できると思いませんか？
行動量を増やす
50代の転職は、「数撃てば当たる」とまでは言いませんが、とにかく行動してみることが大切です。
- 求人サイトのこまめなチェック
- ハローワークや地域の就労支援の活用
- SNSやブログを通じた情報発信
- 転職フェアやオンライン面談に参加する
何もしなければ、当然ながら仕事はやってきません。
逆に「少し手間をかけてみよう」と動いた人の方が、チャンスをつかんでいる印象があります。
再就職支援の現場では「自分の年齢と同じ数だけ応募するつもりで」と最初にアドバイスすることもあるそうです。
実際それほど応募するかはさておき、そのくらいの覚悟を持って臨んでいくという姿勢は正しいと思います。
興味を持ったところはまず気軽に応募してみる。
応募を繰り返していくうちに、少しずつ自分の価値観が明確化されたり、書類がブラッシュアップされたりします。
そうすると通過率が上がってくることがあります。
選考は選ばれる場だけではなく、自分が相手を選ぶ側でもあります。
面接で落とされたとしても、よりマッチしていた人がいただけで、決してあなたの人格を否定しているわけではありません。
人手が足りていない業界や、少しアクセスが悪い場所など、少し範囲を広げてみると掘り出し物に出会える可能性も広がります。
また、職場環境や仕事内容、気になることは面接などできちんと確認していくことで、ミスマッチを限りなく少なくしていきましょう。
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転職だけが正解ではない
ここまで転職戦略についてお伝えしましたが「今の職場でやりがいを見つけ直す」という選択肢も、もちろんアリです。
ご相談の中で「転職したほうがいいのかな」「転職すべきか迷っている」といった表現がよくありますが、その裏には
「この悩みが解消すれば続けてもいい」
「モチベーションが上がるんだったら、まだできることがあるかも」
「人間関係が嫌なので、手っ取り早くリセットしたい」
といった想いが隠されていることがあります。
転職するというのはチャンスでもありますが、リスクももちろん伴います。
長く働いてきた職場でそれなりの給与・待遇だった人は、職を転じることで一時的に給料が下がることもあります。
全く新しい環境に入って、一から人間関係を構築する大変さもあることでしょう。
自分が苦手としている根本的なことを手当しないままで場所を変えたとしても、先送りになるだけで同じ悩みが再現される可能性もありますよね。
もし今の職場に不満があるなら、転職に踏み切る前に：
- 部署異動の希望を出してみる
- 働き方を相談してみる（時短、在宅など）
- 自分から改善提案をしてみる
- コミュニケーションスタイルを工夫する（伝え方・物事の捉え方など）
ことも試してみてください。
「難しいと思う」とおっしゃる方が多いですが、実際試していないことも多いのです。
もし本当に退職するとしたら、一度トライしてからでも遅くはないと思いませんか？
そもそも、その職場にも何かやりたいこと、魅力を感じて入ったのだのではないでしょうか。
環境が改善されれば、もう一度前向きに頑張ってみてもいいかもしれません。
評価に納得がいかないとしたら、自分が思う評価と、会社が求める評価の基準がずれているかもしれません。
どんな成果を出したら評価してもらえるかを上司に具体的に確認してみてもいいかもしれません。
成長が感じられないとしたら、新しい役割を考えてみる、周りを巻き込んでみるなども刺激になりますよ。
交渉してみる前に「無理だ」と決めつけず、辞める覚悟があるならば、ダメもとで交渉してみてからでも遅くはないでしょう。
副業・複業で「自分の市場価値」を高める
また、収入源を複数に分けておくことも、これからの時代には有効な戦略です。
たとえば：
- ブログ運営やアフィリエイト（ASP活用）
- YouTubeでの情報発信
- ココナラやストアカなどスキル販売
- オンライン講座の開設
- 生成AI（ChatGPTなど）を使った動画や文章生成
ITスキルに苦手意識があっても、今は無料で学べる環境がたくさんあります。
YouTube動画や、生成AIの活用で自分一人でも「小さく始める」ことができる時代です。
雇用されることを考えると狭き門になるかもしれませんが、自分で小さく事業化して、少しずつ大きくしていくことも50代からトライしてみてはいかがでしょうか。
「ライスワーク」と「ライフワーク」を分けて考えてみるのもひとつの案です。
これまでの人生で積み上げてきた「好きなこと」「頑張ってきたこと」「大切にしてきた価値観」がきっとあるはず。
- 推し活を通して得た行動力や編集力
- 長年の趣味で培った観察眼や知識
- 子育てや介護を経験したからこその視点
- 料理、ガーデニング、手仕事の技術
それらを、自分の言葉で発信してみることが、共感を呼び、意外な仕事や新たな収入につながることもあります。
最初はうまくいかなくても構いません。まずは始めてみること。
誠実に、自分の言葉で発信していくこと。
できれば半年以上続けてみること。
それが「50代からの新しい自分」への扉になります。
転職活動をしていると、落ち込むことや焦ることもたくさんあるでしょう。
「もう50代だし…」とつい尻込みしてしまいがちですが、自分の価値を一番信じてあげられるのは自分自身です。
どこかで誰かが、あなたのような人と一緒に働きたいと思っているかもしれません。
新しいことを始めるのに、遅すぎることはありません。
50代のあなたがこれまでの経験を武器に、次の一歩を踏み出せるよう、キャリアコンサルタントも一緒に作戦会議をしてくれますよ。
ぜひご活用くださいね。
人生はまだまだ続く―
あなたの未来を応援しています。
【Schoo(スクー)】
