キャリアコンサルタントとして活動を続けていくうえで、必要な5年ごとの更新講習。
それは単なる“義務”ではなく、相談支援の力を深める大切な機会であると実感しています。
45歳で資格を取得し、少しずつ現場経験を増やしていった筆者にとって、更新講習は「現場で求められていること」をより深め、すぐに実践できる貴重な学びとなっています。
この記事では、そんな実体験を交えて更新講習の意味や活かし方について綴っていきたいと思います。
資格取得後に出会う「わからないこと」
キャリアコンサルタント資格を取得したときは、それなりに達成感もありました。
けれど、いざ相談現場に入ってみると、養成講座で得た知識だけでは太刀打ちできないと痛感することばかりでした。
養成講座では15分のロープレをまず乗り切ることに力を入れますが、実際の相談業務はそこから先が核となるのです。
50分、60分と話を聞きながら、ただ聞くだけではなく、相談者が気づいて行動につながるような支援が必要となってきます。
相談者の語る言葉の背景に何があるのか、どう問いかければその人が「自分の言葉」で話し出せるのか——。
✔ 一気に話す人
✔ なかなか話がでてこない人
✔ 質問が多い人
当たり前ですが、ひとりひとり全く違う。
それらは実際に向き合う中でしか体得できない感覚でもあると感じます。
また、実際の相談は1回のみで終わる、いわゆる”シングルセッション” であることも多いです。
その1回で何かヒントを持ち帰ってもらえるか、ほんの少しでも気持ちが前向きになれるか、
次の面談につながるか、その後の行動に変容がもたらされるかといった視点も大切です。
実際の相談業務を始めたころ、ただただ話を聞いて
「聞いてもらってすっきりしたけど、何かが解決した感じはしない」
「なんだかまだモヤモヤする」
「何の時間だったかわからない」
といった感想をいただくことも多く、その都度試行錯誤を重ねてきました。
相談者が考えを深めるのが得意な人であれば、適切な質問をすれば自分でどんどん気づいていきます。
一方で、普段自分で考えるのにあまり慣れていない、他者やメディアなどの情報に左右されやすい方などはいきなり深い質問に対して抵抗を示されることも。
いら立ちや、怒りを表出されることもあります。
場合によってはこちらでいくつか選択肢を示して、近い方を選んでもらうことで
まずは「自分で選ぶ」ことに慣れてもらうアプローチが効果的なこともあるでしょう。
幅広い悩みを持つ相談者に対する中で、テーマ別の更新講習はとてもよい学びの機会になります。
座学で改めて知識を確認し、ロールプレイで実践的な対応を試し、現場に持ち帰ってはまた考え直す。
その繰り返し、PDCAが確かな成長につながるのです。
自分に足りないものを痛感する機会
5年ごとの更新講習は、技能講習30時間・知識講習8時間の履修が必要です。
自分にとって本当に必要なテーマ、関心のある領域を選んで受講することで、学びの効果は格段に高まります。
たとえば、私は最初の頃
「たくさん話をする人のペースに巻き込まれて、ただただ話を聞くだけで時間を費やしてしまった」
といったケースが度々ありました。
ある技能講習で、ある程度聞いたあたりでいったん
「これからの時間をどんなふうに使いましょうか」
「ここまで話してみて、今改めてどんな風に感じますか?」
「この面談が終わるときにどんなことが少し見えていたらいいですか?」
と相談者に問うことで、時間の使い方を考えてもらうのも一つのスキルであると学びました。
特に面談が1回しかないことが想定される場合、相手の理解度を見ながら場合によっては「半歩だけ」踏み込んだ支援をすることを心掛けています。
「たくさん話せてスッキリしたけど、どうすればいいのかわからなかった」
「そういうことを聞いて欲しいわけではなかった」
「寄り添いとか要らない」
「何の時間かわからなかった」
「時間の無駄だった」
といった、厳しいご意見をアンケートでいただいたこともあります。
率直なご意見に最初は傷つき「私は精いっぱいやった」と自分を正当化して
「出来ていない自分」「足りていない自分」を直視することができませんでした。
ですが、だんだんそれは「貴重な意見」「自分の足りていないことを指摘してくださった」と感謝できるようになりました。
あまりいい結果ではありませんが、ある意味相談者の心が動いたとも言えます。
そうやって、自分のくせや弱点、傾向にも少しずつ向き合えるようになっていったのです。
試験対策と現場実践の間にあるギャップ
ただ、正直なところ「現場で役立つ情報をどう得たらいいのか」迷うことも多いです。
キャリコンの実務についてネットで検索しても、試験合格を目指すための情報の方が多かったりしますよね。
実務で困ったとき、どこで情報を得ればよいのか、どんな対応が現場で求められているのか、どんなケースがあるのか、そういった情報はまだまだ少ないように思います。
私自身も、何かの団体や実践グループに入らなければ見えてこないことが多いと感じています。
だからこそ、実際の相談業務をする中で難しく感じたり、試行錯誤してきた経験を、少しでもわかりやすく発信していこうと思っています。
キャリコンのロープレ15分の“その先”にあること。
悩み苦しみながらも、真摯に向き合ってきた支援の経験を言葉にして伝えていきたい。
失敗談も多く、恥ずかしさもありますが、これからキャリア支援を始めようとする人たち、
そして今まさに「格闘」している仲間たちへの、ささやかな道しるべになればと思っています。
様々な経験により自分の分野が見えてくる
キャリアコンサルタントは資格取得がゴールではありません。
むしろスタートラインであり、そこからどう経験を重ねていくかはひとそれぞれ。
更新講習を通して知識やスキルを更新しながら、自分自身の感性やスタンスも育てていく。
それが、支援に厚みを与えてくれます。
「どの分野で活動していっていいかわからない」
「専門分野がない」
そんな風に感じている方もいるかもしれません。
いろいろと試していくうちに特に課題感を感じる分野や、さらに深く学びたいと思う分野がきっと出てくるはずです。
キャリア支援の興味・関心分野に出会ったときに初めて、重点的に増やしていけばいいと思います。
そして、50代以降という年代だからこそ伝えられること、感じ取れることもあると思うのです。
これまでの人生経験や、キャリアの迷いや転機を通して得た実感は、きっと誰かの力になるはず。
成功も失敗も、迷い悩んだことも、すべて実践に活かせる職業。
それがキャリアコンサルタントだと思いませんか?
実務経験を重ねたからこそ、見えてくる課題がある。
だからこそ、更新講習という仕組みを前向きに活用して、相談者の利益になる支援を続けていきたいですね。
更新講習はその道の途中で、自分を振り返り、支援の本質に立ち返るよい節目。
焦らず、無理せず、少しずつ。
あなたの支援が誰かの灯りになることを願いながら、一歩ずつ共に歩んでいきましょう。
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