長年続けてきた会社員生活。このまま定年まで続けるのかな…と思っていました。けれど40代半ばで「このままで本当に後悔しない?」と自問自答、早期退職に応募してパートとフリーランスを組み合わせた“パラレルキャリア”に踏み出しました。不安はありましたが、出会いが増え世界が広がり、やりたいことも増えています。50代の「ゆるやかな挑戦」の体験談をお届けします。
会社員からパラレルキャリアへ
コロナ禍のさなか、15年正社員として勤めた団体を早期退職しました。47歳でした。
セカンドキャリアは本当はあと10年先くらいに進もうとぼんやり考えていましたが、所属していた国際交流の団体がコロナ禍の直撃を受けて早期退職を募集したため、思ったよりタイミングが早まったのです。
私は大学卒業時にあまり真面目に就職活動をせず、「語学や国際交流に携わりたい!」というふわっとした動機で就職先を選んできました。
その道は間違っていなかったと思うのですが、40代半ばから『他の可能性にチャレンジしてこなかったのかもしれない』という想いがムクムクと湧き出てきたのです。
そんな折くしくもコロナ禍がやってきて、携わってきた国際交流の仕事は数年間激減してしまいました。
「女性でも定年まで無理なく働けそう」と考えて入った組織でしたが、転機が前倒しで訪れたと前向きに捉えて、迷いに迷った末退職を選び、次のステップへと踏み出しました。
退職直後はそれまでの緊張の日々からの解放感でしばらくお休みを取り、心身をメンテナンスする期間に。
求職に関するセミナーなどに参加しながら、座禅やマインドフルネスの体験講座に参加したり、自治体が開催している太極拳講座に通ってみたり。
数か月経つと働く意欲がだいぶ戻ってきました。
会社員ではなくなったことを機に「やってみたいと思ったことはとりあえずかじってみよう」と様々な求人に応募しました。
学校を出た後、ずっと事務職のオフィスワークだったので、学生以来の接客・販売にも応募。
「大人のインターン」と勝手に名付けました。
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セカンドキャリアの始まり、と言われ
会社員卒業後の働き方をあれこれ検討する中で、様々な施設に出向きキャリアコンサルタントに相談もしました。
あるキャリコンから「セカンドキャリアの始まりですね」と言われ、ハッとしました。
「あれ、私ってセカンドキャリアが始まっているの?」と。
当時の私は「セカンドキャリア」は「定年後の第二の人生」といった意味合いで捉えており、もっと年齢を重ねてからのイメージを持っていました。
「そうか。第二の人生が始まったのだとしたら、スタートが早くて有利なのかもしれない」と考えが切り替わりました。
言葉の力ってとても大きいですよね。
いわゆる「リフレーミング」です。その言葉が私の認識を変えました。
「セカンドキャリアのスタートを早めに切れたのだ」と前向きに考えることができるようになったのです。
今、私がキャリアのご相談を受けていて、年齢を気にして一歩踏み出せない方などには「これからあと数十年もうひとキャリア作れますよ。何がしてみたいですか?」とお聞きするようにしています。
そうすると皆さん、嬉しそうにその想いを語ってくれます。
自分の行動にブレーキをかけているのは、意外と自分自身だったりします。
実現できるにはどんなことが必要か、どんな思い込みを取り除けばいいか、などを一緒に考えるのはとても幸せで、楽しい時間です。
コーヒー豆屋で売り子になる

接客・販売に挑戦したと書きましたが、それはスペシャルティコーヒー店での販売スタッフでした。
なぜスペシャルティコーヒーだったのか。
単純ですが、販売するなら自分が興味があるものがいいと考えたのです。
知識とスキルを身に着ければ、将来自分でも何か出来るかもしれないというささやかな希望もありました。
現在、自己紹介をするときに「キャリアコンサルタント」という肩書よりも「スペシャルティコーヒー」に反応する方も多かったりします。
「ライスワーク」と「ライフワーク」を組み合わせながら、徐々にバランスを変えていくのもいいと思います。
それらを掛け合わせることで、何かイベントや新しいサービスが考えられるかもしれません。
「ライフワーク」のほうは、それほど収益が出なくてもやっていて心地が良いこと。
そして定年のない仕事です。
出来れば細々とでも収入が得られるといいですね。
私にとってはそれが「スペシャルティコーヒー」でした。
脱サラしたオーナーが2店舗運営している創業25周年のスペシャルティコーヒー豆のお店です。
最初は駅などに出店しているマルシェの販売員としてお試し稼働し、徐々に店舗のスタッフも任せてもらえるようになりました。
50歳に手が届く私がいきなり応募してきて、前職も全く違う分野のため、面接したオーナーも最初はいぶかしげでした。
「この人は本気でやりたいと持っているのだろうか? 」「冷やかしなのではないか?」という表情でした。
それでも、仕事内容やお店の規模感、スタッフの方が他の人柄なども合っていて、結果的にその仕事が一番長く続いていたりします。
販売・接客のことから売上・在庫管理、通販の処理、Webページの管理、食品衛生やコーヒーの知識、これまでの仕事では得られない知識がたくさんありました。
長く続く要素は様々ありますが、扱う商品が別のものだったら、これほど長く続かなかったかもしれません。
そういう意味ではセカンドキャリアにおいて「自己分析」「興味・関心」はやはり重要なキーとなるのではないかと思います。

定年のない、ライフワークをみつけよう
これからの時代は、自分の出来ることと、好きなことを組み合わせて、多種多様な働くスタイルがますます増えてくるのではないかと感じています。
それぞれのいいところを採用して、組み合わせて、あらゆる「自分スタイルの」働きやすい環境を創っていくのです。
組み合わせは無限大。
もちろんリスクもあります。収入が安定しないこともあります。
変な取引先も中にはあります。(そんな時は潔く離れることも大切)
でも、1つの仕事が別の仕事の役に立ち相乗効果が生まれたり、経験も人間関係も豊かになっていったりする感覚があるのです。
これからは自分でパッチワークのようにオリジナルなキャリアを「紡いでいく」時代になるのではないかと思います。
そんな「自分だけのスタイル」を探すお手伝いに、キャリアコンサルタントもぜひご活用くださいね。
あなたはどんなパラレルキャリアに興味がありますか?
50代からの人生に刺激と広がりをもたらす、楽しい未来を考えてみてくださいね。
