「好きなことを仕事にできたら」——でも…現実には生活があるし、年齢的にもう遅いかもしれない。
そっと胸にしまい込んでしまうのが私たち50代なのかもしれません。
私自身そんな風に感じつつも47歳で会社を早期退職し、副業としてコーヒー豆販売スタッフを始めました。
大きな成功ではなくても「好き」に正直に行動することで、少しずつ暮らしが楽しくなる——そんな働き方の形を見つけた実体験を綴ります。
ホッと一息つける場所が「好き」のはじまり
私はもともと、人付き合いが得意な方ではありませんでした。
会社では年齢、性別、価値観が違う様々な人とやりとりする必要がありますよね。
働き始めた頃はコミュニケーションへの苦手意識がとても強く、周囲とのやり取りを極力少なくして、一人行動することも多かったのです。
人と関わる限り日々些細なストレスが蓄積されていく。
そんな日々の中で 心を整える時間 として欠かせなくなったのが「カフェ時間」でした。
休日や仕事終わり、考えごとをしたいとき――
ONからOFFへの切り替え時間
紅茶よりもコーヒー。
ミルクたっぷりのラテも、豆の味がしっかり感じられるシングルオリジンのコーヒーも大好きです。
振り返れば、高校生の時に初めてアルバイトしたのも近所の「喫茶店」でした。
そこで初めて、インスタント以外の、様々な種類のコーヒー豆があることを知りました。
常連さんが毎日カウンターでコーヒーを飲みゆっくりと新聞を読む姿を見て「こういう大人って素敵だな」と感じたことが原体験になっているのかもしれません。
年齢を重ねるごとにだんだんと、「飲む」だけでなく「豆の種類」「焙煎」「淹れ方」などにも関心が出てきました。
会社を辞めて考えた「これからどうしたい?」
47歳のとき、勤めていた会社が早期退職を募集し始めました。
ちょうどコロナ禍で働き方や人生の価値観が大きく揺れた時期です。
さんざん悩みましたが、退職を決意。
また企業に勤める道もありましたが、いったん会社員生活に区切りをつけてみたいと思いました。
そして「この機会に、今までやったことがないことをやってみたい」という気持ちがムクムクと湧いてきました。
地元の駅名と「コーヒー」「アルバイト」などのキーワードで検索をかけてみたところ、あるスペシャルティコーヒー専門店の求人に出会いました。
最初は駅ナカのポップアップストアでのコーヒー豆販売スタッフ。
接客の仕事は学生以来です。
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「いらっしゃいませ」が恥ずかしかった初日

初日は本当に緊張しました。
「いらっしゃいませ」「またぜひお立ち寄りください」なんて言葉を発し、レジ打ちをするのは学生時代のアルバイト以来。
大きな声を出すのもなんだか気恥ずかしくて。
でも不思議なことに、お客様とのやり取りがとても楽しく感じられたのです。
「この豆、酸味は強いですか?」
「アイスコーヒーに向いてる豆はどれですか?」
「おすすめはありますか?」
そんな質問に、限られた知識で一生懸命に答えていくうちに、自然と楽しくなっていきました。
対面販売だからこそ感じられる“生の声”は、デスクワークでは得られなかったもので、体を動かすことで今までにない心地よい疲労感を感じました。
雨の日も、猛暑の日も、風が強くて設営が大変な日もありました。
それでも「次に来た時にまた買うね」「この前かったこの豆、とてもおいしかったわよ」と言ってくださるお客様の一言に励まされて続けることができています。
「好き」から始まるセカンドキャリア
不器用ながらも真剣に取り組んでいるうちに、オーナーから頼まれて店舗の業務にも関わらせてもらうようになりました。
小さいお店なので基本的にはワンオペ。
接客のほかにも、豆の梱包、オンライン注文の準備、イベント販売品の準備など、多岐にわたる仕事を経験させてもらっています。
週に1~2回程度お店に入っているうちに、ふと思いました。
「この仕事、地味だけど、すごく好きだな」と。
たとえば、
- 自分の説明でお客様が「なるほど〜」と納得してくださる瞬間
- ギフト用にラッピングした商品を「わぁ、かわいい」と喜んでもらえた時
- お店の雰囲気を気に入って常連になってくださる方との何気ない会話
「小さな喜び」の積み重ねが、少しずつ「やりがい」に変わっていきました。
今はキャリア支援のお仕事をメインにしていますが、並行してコーヒー豆店スタッフも継続しています。
気づけば会社を退職してから、コーヒー豆店が一番長いキャリアとなっています。
好きを深めていけば「得意」になる
最初はただ「コーヒーが好き」というだけの理由で始めた仕事でした。
ですが、入ってみてからお客様に説明するために産地や味、特徴などを勉強しました。
知識が増えていくと、もっと伝えたくなるし、更に深く知りたくなります。
今では、産地ごとの味の違いや、浅煎り・深煎りの違い、精製方法なども少しずつ説明できるようになりました。
また、テイクアウトにも力を入れるようになり、エスプレッソマシーンでミルクをスチーミングして、ラテアートにも挑戦中です。
50歳を過ぎて、自分がラテアートをお客様に提供する日が来るとは、夢にも思いませんでした。
それも初めに「好き」に正直に行動できたからこそ、たどり着いたのだと感じます。
あなたの「好き」もきっと物語になる
「好き」の種を自分の中で育てていく。
それが、やがて「得意」になり、誰かに喜んでもらえる“仕事”になる。
知識や経験が積み重なってきたら、他の誰かに教えられる日が来るかもしれない。
パラレルワークという働き方は、本業だけに頼らず、新しく自分の「好き」を育てるチャンスでもあるのです。
「こんなことでお金を稼げるのかしら」と最初は思うかもしれません。
お試しのボランティアからでもいいのです。
誰かに喜んでもらえたり、自分の時間を気持ちよく過ごせたりするなら、
その「好き」は、きっとお金以上に、人生の充実感に形を変えていくでしょう。
何か新しいことにチャレンジしたい方、好きなことを少しずつ形にしていきたい方へ――
あなたの「好き」の種を探し、丁寧に育ててみてください。
はじめはおっかなびっくり、でも着実に。
今日のこの一歩が、あなたの未来を変えてくれますよ。
パン屋さん.jp



