相手の不機嫌を引き受けない 夫婦の境界線と距離感を見直して見えたこと

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夫婦という近しい関係だからこそ、長く一緒にいるからこそ、曖昧なまま見過ごしてきた。

それが些細なきっかけで噴出する出来事がありました。

どこまでが「信頼」で、どこからが「甘え」なのか。

互いの心地よさを取り戻すには、一度立ち止まって、もう一度距離の取り方を見直す必要があると感じました。

これは、私たち夫婦が経験した「境界線の引き直し」のお話です。


ずっと「支える側」だった私 境界線があいまいに

私の夫は、不器用で体調を崩しやすく、忘れ物や無くし物も多い人です。

 
そんな彼を心配して、結婚以来いつの間にか私は、あれこれ先回りしてサポートするようになっていました。

 

外では人当たりよく振る舞う夫ですが、そのぶんストレスが溜まり、家で不機嫌になることもよくありました。
 

外で我慢していた負の感情を吐き出しているのだろう、私がある程度受け皿になれば落ち着くだろう、そんな風に受け止めてきたのです。

  

でも時折、そのバランスは崩れます。
  

ある年、楽しく夏の避暑旅行に行った帰り、暑さと疲れで夫がだんだん不機嫌に。

  

さらに次の旅行の手配がうまく行かなかったり、翌日からの仕事のことが頭をもたげたりした結果、夫が感情を爆発させました。

 

まったく私のせいではないことが明らかです。

  

もっと言えば、私も同じ旅行に行っているので暑くて疲れている。

 

自分の部屋で爆発すればいいのに、わざわざ私の傍らに来て感情を爆発させる。

  

その時はあまりに激しい感情で、突然だったので逃げ場もありません。

 

顔を覆いひたすら嵐が去るのを待つ、そんな感じでした。

 

急に「もう無理かもしれない」と心がすっと冷えていくのを感じたのです。

   


境界線を引く勇気 便箋2枚直筆の「手紙」

いつもなら「自分も気づいてあげられず悪かったのかもしれない」と流していた私ですが、その時は違いました。
  

あまりにも理不尽で、あまりにも悲しかったのです。

  

傷つきはすぐに回復せず、みぞおちのあたりに違和感がずっとある日々が続きました。

  

数日間はほとんど目も合わせず口も利かず、別々の部屋で過ごしました。

  

夫の不機嫌はすっかりなくなり、能天気に時折覗きに来ましたが、基本的にスルーです。

  

私は自分の心を守ることを優先しました。

  

そしてその週末、自分の気持ちをていねいに手紙に書き出しました。
  

夫を責めることなく、ただ「私はこう感じている」「これからどうしたいのか」を便箋2枚にしたためて、彼に渡しました。

  

そこには、「家を心身を癒す場所にしたい」という、私の切実な願いも込められていました。
  

「別居も覚悟している」
  

そんな一文も、正直な気持ちとして添えました。

 

これで通じなかったら、その時はもう仕方がないかな、という想いでした。

 

その1週間、夫から昼間の愚痴を聞かされないだけでも、私は何ヶ月ぶりかに深く眠ることができました。

   

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再構築という選択肢 壊すのではなく「ほどく」ために

我が家は子供がいないため、どうしてもお互いの存在感が強くなります。

  

いつの間にか互いの境界性があいまいになり、甘えも生まれていたのだと思います。

  

やはり夫婦は他人です。

  

ただ、夫婦関係を見直すということは、必ずしも「別れる」ことではありません。

  
私たちは子どもがいない分、関係を終わらせるのはそれ程複雑ではありません。
  

私は悩んだ末、この歪んだ距離感を「壊す」のではなく、「ほどく」ことを選びました。

 

境界線があいまいになってしまったから、互いに依存的になり甘えすぎてしまった、許し過ぎてしまった。

 
それを一度ほどいて、距離感を引き直すことを試してみてもいいのでは、思うようになりました。

  

夫も手紙を読んで内省し、自分の中の疲弊や様々なプレッシャー、人の反応を過度に気にしてしまう自分について正直に話してくれました。

 
そして「しばらくは自室で過ごす」と、自分から距離を確保する提案をしてくれたのです。

 

夫のマイナス感情の理由は私には予測できませんし、感情のコントロールは夫にしかできません。

 

その後は徐々にですが、自分が感情を爆発させそうになるとその場を離れたり、1分くらいで納めてくれるようになりました。

 

どこでどのように「アンガーマネジメント」を身に着けたのかはわかりませんが、今のところ成功しているようです。

 

もしかしたら、私が受け止め過ぎていたことで、夫が感情のコントロールを身に着ける機会を奪っていたのかもしれない、とも感じました。

 

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夫婦の距離感を、あたらしくする

夫婦は、他人同士が人生をともに歩もうと決めた特別な関係です。

   
でもそれは「同じ役割、距離感を保つ」ということを意味しません。

   

何年も共に過ごすことで、知らず知らずのうちに役割が固定化されていくこともあるでしょう。

 

友人に、いちど離婚し、7年後に再び同じ相手と再婚した女性がいます。
  

時間をかけてゆがんでしまった距離感や役割、互いのあり方を見つめ直すことで、関係をあたらしく再構築できた姿に私はとても勇気をもらいました。 

  

夫婦の形に、正解はありません。
  

だからこそ終わらせる前に「もう一度、編み直してみる」ということをトライしてもいいのかもしれません。

  

もちろん一方的過ぎる、度が過ぎたゆがんだ関係性なら、自分を守るために別離を選び安全を確保してほしいと思います。

  

今私は「自分を大切にする」「我慢し過ぎない」ことを意識しながら、初心に戻って、大人同士として夫との距離をときどき点検していきたい考えられるようになりました。

   

夫婦関係のなかで、「なんだか、疲れてしまったな」と感じるとき。
 

それは、あなたが我慢しすぎているサインかもしれません。

 

距離を取ることで、関係を客観視する。

 

感情の受け皿になり続けるのではなく、あなた自身の心がどんなふうにありたいかを見つめ直してみませんか?

  

終わりではなく、リスタート。
  

これまで積み重ねてきた時間があるからこそ、もう一度手を取り合うことで、より良い関係性へとつなげていける可能性もあるのではないでしょうか。

   

その時々で一番いい距離感を見直していく。

 

長い夫婦生活の折に触れ、そういう機会を持ってみてもいいのではないかと思う出来事でした。

 

まずは自分を最優先に、心身を守ることから始めてみてくださいね。

 

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