50歳を過ぎたころから、これまでの人生をふと振り返ることが増えました。
「あの頃は、ずいぶん頑張っていたな」と思ったり、「これからは、もう少しゆっくり歩いてもいいのかもしれない」と思ったり。
そんなことを考えていると、人生は山登りに少し似ているな、と感じます。
この記事では、人生を山登りにたとえながら、50代からの歩き方について考えてみたいと思います。
上り坂(人生前半戦):負荷もかかるけど一歩ずつ着実に
若い頃は、先の景色を見る余裕もなく、ただ一生懸命に上っていく。
働き盛りには、仕事や家族、人間関係など、いくつもの荷物を背負って歩く。
そして50代になった今、少しずつ「下り」のことも考えるようになりました。
人生の前半は、まだ自分がどんな山を登っているのかも、よくわかっていなかったのかもしれません。
学校を卒業して、仕事をして、結婚したり、子育てをしたり。
目の前にあることを一つずつこなしながら、気がつけばずいぶん遠くまで歩いてきました。
若い頃は体力もありますから、「多少無理をしても大丈夫」と思ってしまいます。
少しくらい眠らなくても平気。
忙しくても頑張れる。
周りが頑張っているなら、自分も頑張らなくては。
そんなふうに、自分を奮い立たせながら歩いてきた人も多いのではないでしょうか。
私自身も、40代までは仕事と家庭の両方に追われるような日々を過ごしていました。
疲れ果てて体調を崩したり、立ち止まらざるを得ない時期もありました。
それでも、そのたびに「自分はどのくらいなら頑張れるのか」「どんな働き方なら続けられるのか」を少しずつ知っていったように思います。
山登りも、最初から上手に歩けるわけではありません。
急な坂では息が切れる。
休憩しないと歩き続けられない。
自分に合った靴や歩くペースも、実際に歩いてみなければわかりません。
人生も同じなのかもしれません。
失敗したり、立ち止まったりしながら、自分なりの歩き方を覚えていく。
そうやって50代まで歩いてきたのですから、それだけでも十分頑張ってきたと思うのです。
50代は立ち止まって景色を見る時期なのかもしれない
山を登っている途中では、なかなか周りの景色を見る余裕がありません。
「あとどのくらい?」
「いつになったら頂上につくの?」
そんなことばかり考えて、一歩先を見ることで精いっぱいです。
でも、少し高いところまで来ると、ふと振り返ることができます。
「あんなに遠くから歩いてきたんだ」と。
50代というのは、そんなふうに一度立ち止まって、自分が歩いてきた道を眺める時期なのかもしれません。
仕事では、これまで積み重ねてきた経験があります。
人間関係では、出会いも別れもありました。
家族との関係も、若い頃とは少しずつ変わってきます。
そして、「これからも今のままでいいのかな」と考えることも増えてきます。
いわゆる「中年の危機」と呼ばれる時期に重なる人もいるでしょう。
でも、私はこの時期を必ずしも悪いものだとは思っていません。
むしろ、これからの人生を自分で選び直すための、よいタイミングなのではないでしょうか。
これまで人のために使ってきた時間を、少し自分のためにも使ってみる。
仕事だけではなく、好きなことや興味のあることにも目を向けてみる。
「本当は何がしたかったんだろう」と、自分に問いかけてみる。
50代になったからこそ、見えてくる景色があります。
今まで歩いてきた道を否定する必要はありません。
「あれも私の人生だった」と眺めながら、これから歩きたい道を考えていけばいいのだと思います。

下り坂(人生後半戦):重たい荷物を少しずつ軽くしていく

人生の後半は、少しずつ下り坂になっていくのかもしれません。
上り坂ほど苦しくない一方で、体力の変化を感じることも増えてきます。
昔なら簡単にできたことが、少し大変になった。
無理をすると翌日まで疲れが残る。
心や体の”ゆらぎ”が気になるようになった。
そんな変化に気づくと、つい「年を取ったな」などと落ち込んでしまいます。
でも、山を下るときに、わざわざ重たい荷物を背負ったまま歩く必要はありません。
人生も同じ。
これからは、少しずつ荷物を軽くしていってもいいのではないでしょうか。
「こうするべき」
「人からどう思われるか」
「昔はできたのだから、今もできるはず」
そんな思い込みも、少しずつ手放していく。
人間関係も、無理をして付き合い続ける必要があるのか考えてみる。
家の中のものも、本当に必要なものだけを残していく。
仕事も、体力や気力に合わせて働き方を調整していく。
50代からは、「もっと頑張る」だけではなく、「無理なく続けられる形に変える」という発想も大切になってくるように思います。
私自身も、遠くまで行くことより近場の楽しみを見つけたり、昔の友人と久しぶりに連絡を取ったり。
若い頃とは違う楽しみ方が、少しずつわかってきました。
下り坂だからこそ見える景色も、きっとあるのです。
今のエンジンで走れるペースや距離を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
下山した先にも、まだまだ人生のお楽しみがある
山登りでは、頂上がゴールとは限りません。
山を下りて、温かいご飯を食べたり、お風呂に入ったり。
「無事に帰ってこられたね」と笑い合う時間も、山歩きの楽しみのひとつです。
人生も、もしかすると同じなのかもしれません。
若い頃は「成功すること」や「何かを成し遂げること」が人生の目的のように感じていたとしても、50代からは少しずつ価値観が変わってくる。
美味しいものを食べる。
気の合う人とくだらない話をする
好きな本を読む。
ふらりと旅に出る。
自然の中を歩く。
何も予定のない日に、のんびりコーヒーを飲む。
そんな日常の近くにある小さな幸せが、思いのほか人生を豊かにしてくれます。
そして、これまでの経験も無駄にはなりません。
仕事で身につけたこと。
人との関わりの中で学んだこと。
失敗したこと。
誰かに助けてもらったこと。
これらは、これから誰かを助けたり、次の世代に渡したりすることができます。
人生の後半は、「何を手に入れるか」だけではなく、「何を残したいか」「何を渡したいか」を考える時間にしてみてもいいでしょう。
山を登って、少し休んで、また下っていく。
急いだり、寄り道したり、時には道を間違えたりしながら、それでも自分の足で歩いていく。
人生は、きっとそんなものなのだと思います。
50代になったからといって、すべてを決める必要はありません。
これから先、思いがけない出会いや、新しい興味が生まれることもあるでしょう。
だからこそ、今までの自分を労わりながら、これからの自分にも少し期待してみたい。
「まあ、ここまでよく歩いてきたな」
そう思えたら、それだけでも十分なのかもしれません。
あなたはいま、人生のどのあたりを歩いているでしょうか。
もし少し疲れているなら、今日は立ち止まって景色を眺めてみませんか。
これからどんな道を歩いてみたいか、ゆっくり考えてみるのもまた楽しいですよ。
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